【ニュースの要点】
キャセイパシフィック航空(Cathay Pacific)のCX509便(東京・成田発、香港国際空港行き、エアバスA330-300)が、香港国際空港への着陸をやり直す「着陸復行(ゴーアラウンド)」の最中に、機体の尾部を滑走路に接触させる「尾部接触(テールストライク)」を起こしていたことがわかりました。South China Morning Post(SCMP)の2026年7月の報道によると、発生は2026年7月3日(金)で、機体はその後改めて安全に着陸し、乗員・乗客にけが人は報告されていません。
香港の航空当局である民航処(Civil Aviation Department)はキャセイに報告書の提出を命じ、キャセイは機体を点検・整備してから運航に復帰させるとしています(SCMPの報道による)。原因や損傷の程度、事故区分は調査を待つ段階で未確定です。着陸復行そのものは失敗ではなく、安全のための正常な操作です。
なお、直近で報じられた別のキャセイ便(香港発ロンドン行きCX257がルーマニア上空で交信途絶しNATO機が緊急発進した件)とはまったくの別件です。
何が起きたのか
SCMPの報道によると、CX509便は成田から香港国際空港に着陸しようとした際、いったん着陸を中止してやり直す着陸復行を行いました。その動作中に機体の尾部が滑走路面に接触し、機体後部の下面に擦過痕が残ったとされ、航空の専門家はこれを「相当な(significant)損傷」と評価したとSCMPは伝えています。一方で、機体はその後もう一度着陸態勢に入り、安全に着陸して駐機場へ移動、乗客は通常どおり降機しました。けが人の報告はなく、キャセイもこれを認めています。搭乗していた乗客・乗員の人数は公表されていません。
このほか、航空専門メディアのThe Aviation Heraldは、発生を2026年7月3日(金)現地13時8分ごろとし、機体記号はB-HLQ、滑走路07Rへの進入中に極めて低い高度から着陸復行し、約15分後に別の滑走路07Lへ着陸したと報じています。同メディアによると進入時は雷雨・大雨で視程が約650メートルまで下がり、瞬間的に25〜35ノットの風が吹く荒天だったといいます。ただし、これらの詳細な数値・時刻・滑走路・気象は航空専門メディアによる報道で、キャセイや当局の公式確認情報ではありません。民航処など事故調査当局からの公式発表は現時点で確認できておらず、断定的な事実としては扱えない点にご留意ください。
「着陸復行」と「尾部接触」とは
着陸復行(ゴーアラウンド/go-around)
着陸進入が安定しない、視界が悪い、風が乱れているといった状況で、パイロットが着陸を中止していったん上昇し、やり直す標準的な安全操作です。「やり直す=危険」ではなく、無理に降ろさないための安全側の判断です。香港国際空港は夏に雷雨やウインドシア(風の急変)が多く、この季節はしばしば起こります。
尾部接触(テールストライク/tail strike)
離陸時や着陸・復行時に機首を上げる角度(ピッチ)が過大になり、機体の後部が滑走路に触れてしまう事象です。A330のように胴体の長い機体で起こりえ、損傷の程度によっては機体構造の詳細な点検が必要になります。当該機がしばらく点検・整備に入り、その後復帰させるのは通常の手順に沿ったものです。
香港在住の読者にとっての読みどころ
東京(成田・羽田)と香港を結ぶ路線は、香港在住の日本人が帰省・出張・家族の往来で最も日常的に使う空路のひとつであり、運航はこの区間の主力キャリアであるキャセイパシフィックです。「自分がよく乗る便・航空会社で着陸トラブルがあった」という点で気になる方は多いはずですが、押さえておきたいのは結果としてけが人はなく機体は安全に着陸したこと、そして着陸復行は安全のための正常な操作だということです。荒天下で無理に降ろさずやり直した判断そのものは、安全を優先した行動と言えます。過度に不安視するより、香港の夏の空がそうした環境であることを知っておくと、次に自分が搭乗するときの見通しを立てやすくなります。
背景:香港の夏の空と、別件との切り分け
今回は荒天下での低い高度からの着陸復行中に起きたとされ、気象条件(雷雨・大雨・強い突風・視程の低下)が背景要因として報じられています。もっとも原因は当局の調査・報告を待つ段階で未確定です。当局(民航処)が報告書提出を命じ、キャセイが点検を終えてから運航に復帰させるという流れは、航空安全の仕組みが手順どおりに働いている一例と言えます。
「またキャセイ?」という既視感を持つ方もいるかもしれませんが、今回のCX509便は、直近で報じられたCX257便(香港発ロンドン行きが2026年7月4日にルーマニア上空で管制と一時交信途絶し、NATO機が緊急発進した件)とはまったくの別件です。便名・区間・事象の性質(通信の途絶か/機体の接触か)・起きた段階(巡航中か/着陸操作中か)のすべてが異なり、混同しないことが正しい理解につながります。
運航への影響とまとめ
現時点で、成田・羽田〜香港のキャセイ便について運休や大規模な欠航は報じられていません。影響は当該機の点検・整備にとどまるとみられ、今後の予約に特別な対応は基本的に不要です。ただし夏の香港は雷雨や台風で到着便の着陸復行・遅延が起きやすいため、繁忙期や悪天候時は運航状況を事前に確認し、時間に余裕を持っておくと安心です。日系企業の出張手配でも、悪天候期の香港着便は遅延や着陸のやり直しを織り込んだスケジュールにしておくと無難でしょう。
損傷の具体的な程度、修理・運航復帰までの期間、正式な事故/重大インシデントの区分、原因の公式認定は、いずれも調査・報告を待つ段階で未確定です。最新の状況は民航処やキャセイの公式発表で確認してください。
出典
- 〔South China Morning Post〕Cathay Pacific aircraft’s tail hit runway at Hong Kong airport, airline confirms(閲覧日:2026年7月17日)
- 〔The Aviation Herald(航空専門メディア)〕Accident: Cathay A333 at Hong Kong on Jul 3rd 2026, tail strike on go around(閲覧日:2026年7月17日)
- 香港民航処(Civil Aviation Department)公式サイト:Civil Aviation Department, HKSAR(閲覧日:2026年7月17日)

