事件・事故

香港・マンション大規模修繕で贈収賄と談合、3機関合同で50人逮捕(2026年8月)

香港の廉政公署(ICAC)は2026年8月31日、警察・競争事務委員会(競委會)との三者合同行動「鐵盟」の結果を発表しました。マンション(屋苑)の大規模修繕工事をめぐる贈収賄・入札談合(圍標)集団を摘発したもので、8月26・27日に3機関が計39か所を捜索し、ICACと警察が合わせて50人(24〜77歳)を逮捕しました。ただしこの50人には同じ行動で摘発された違法賭博場に絡む37人が含まれ、修繕工事そのものの容疑での逮捕は13人にとどまります。香港の分譲マンションに住む・所有する日本人読者にとっても、修繕費や工事の質に直結する内容です。

機関ごとの内訳

  • ICAC:贈収賄容疑で10人(男性8人・女性2人、39〜77歳)を逮捕。工事請負業者・工事コンサルタント・登録検査員に加え、業主立案法団(OC、管理組合に相当)の主席・委員も含みます。対象は全香港27の屋苑・ビル(契約総額約5億港元)で、うち東區・灣仔區・油尖旺區の3件(約2億港元)が重点。このうちまだ発注されていなかった契約は、今回の摘発で阻止されました。コンサルタント事務所から現金120万港元超を押収し、登録検査員が職責を果たしていなかった疑いは屋宇署(Buildings Department)に移送されました。約5億港元・約2億港元は工事契約の総額で、賄賂の総額ではありません。
  • 競委會:反競争行為の疑いで23の屋苑・ビル(契約総額約3億港元、港九新界8地區)を調査中。2025年8月の九龍城區での捜索が端緒で、圍標・市場分割・価格の申し合わせなど競争条例「第一行為守則」違反の疑いです。対象工事のうち一部はすでに着工・完了しています。逮捕権限はなく、令状捜索と法定調査権限(資料提出・聴聞出席の要求)を行使しました。ICACの27件との重複は公表されていません。
  • 警察:偽造の完工証明書の使用に絡み男性3人(40〜69歳、建築会社取締役・構造技師・請負業者取締役)を別途逮捕。2022年の小規模工事で、死亡した登録検査員名義の署名が偽造されていました。関連捜索で違法賭博場3か所も摘発し、37人(男性25人・女性12人、24〜62歳)を賭博関連容疑で逮捕しています。

明らかになった手口

ICACと競委會が今回の捜査で明らかにした手口は、主に次の4点です。

  • 標書評估報告で自社の有罪記録を隠して落札
  • 修繕工事を小分けにし、業主の承認手続きを回避
  • 「功課」と呼ぶ価格指示で応札金額を操作
  • 別の圍標集団と連携し落札確率を高める

屋苑に住む・持つ人への影響

香港では老朽化した屋苑の増加に伴い、大規模修繕をめぐる不正が長年の課題として指摘されてきました。大規模修繕は業主立案法団が発注し、費用は管理費・特別徴収金で各所有者が負担します。発注・入札の監督が弱いと贈賄や談合、有罪記録を隠した業者の参入が起きやすいという構造的な弱点が、今回複数機関の同時摘発で改めて可視化されました。対象の屋苑・ビル名は今回の発表では非公表で、示されているのは地區レベルの情報のみです。自分の住む物件が対象かどうかを、この発表から特定することはできません。競委會は対象建物の関係者に順次連絡を取っています。

今すべきアクション

区分所有者として修繕議案の審議に関わる場合は、見積もりの内訳、入札に参加した業者の数と選定理由、コンサルタントの選び方、契約が不自然に複数に分割されていないかを確認してください。3機関は業主に対し、大口の調達で競委會の強化版「不合謀条項」(談合防止条項)を活用するよう呼びかけています。汚職の疑いに気づいた場合は、ICACの公式サイトの通報窓口を利用できます。

まとめ

逮捕は3機関合同で計50人ですが、修繕工事に直接関わる容疑は13人(ICAC10人+虚偽文書関連3人)にとどまり、37人は同じ行動で摘発された賭博関連の容疑です。契約総額はICAC調査分が約5億港元(重点3件約2億港元)、競委會調査分が約3億港元で、両者の重複は不明です。逮捕は捜査段階であり起訴・有罪の確定ではありません。捜査の進展によって人数や対象範囲は変わり得ます。最新の状況は公式発表で確認してください。

出典

← トップに戻る