政治

【施政報告2026】新生児のいる家庭に住宅印紙税を最大2万香港ドル減免 対象は父母どちらかが永久性居民

香港の李家超行政長官は2026年9月16日に発表した施政報告で、新生児のいる家庭に向けた住宅・出産支援策を打ち出しました。柱は、同日以降に香港で生まれた子どもがいる家庭が住宅を購入した場合に、印紙税(不動産の売買契約などにかかる税。現地では印花税)を最大2万香港ドル減免する措置です。ただし対象は、父または母のいずれか一方が香港永久性居民(Hong Kong Permanent Resident=香港の永住資格)である家庭に限られます。さらにこの減免は、関連する条例改正案が立法会(Legislative Council)で可決された後に発効すると施政報告に明記されており、2026年9月時点ではまだ施行されていません。あわせて、新生児奨励金の延長・増額と、政府補助付き分譲住宅の住宅ローン上限引き上げも示されました。

発表された3つの支援策

1. 住宅購入時の印紙税を最大2万香港ドル減免

2026年9月16日以降に香港で生まれた子どもがいて、かつ父母のいずれか一方が香港永久性居民である家庭が、出産前1年から出産後2年以内に住宅を購入した場合、印紙税を最大2万香港ドル減免します。施政報告には、この減免が「修訂条例草案」(改正条例案)の立法会での可決後に発効すると書かれています。改正案の提出時期や可決の見通しは、2026年9月時点では示されていません。

2. 新生児奨励金は第2子以降が3万香港ドルに

2026年10月24日に期限を迎える予定だった、子ども1人あたり2万香港ドルの新生児奨励金(Newborn Baby Bonus Scheme)を3年間延長します。さらに2026年9月16日以降に生まれた第2子以降については、支給額を2万香港ドルから3万香港ドルに引き上げます(3年間の時限措置)。

3. 居屋の「白表」家庭はローン上限95%へ

政府補助付きの分譲住宅である居屋(Home Ownership Scheme=所得などの条件を満たす市民に市価より安く分譲される住宅)については、次期の販売計画から、新生児のいる白表(White Form)家庭の住宅ローン借入比率の上限(現地でいう按揭成数)を95%に引き上げます。白表は、公屋(公営賃貸住宅)の入居世帯などが使う緑表(Green Form)に対する一般の申請枠で、香港房屋委員会(Housing Authority)が示す資格要件では、民間住宅に住む世帯のほか、公屋に住む世帯の家族構成員も白表の対象に含まれます(所得・資産の上限あり)。引き上げ前の上限がいくらだったかは、公表資料からは確認できていません(2026年9月時点)。

読みどころ:一般的な駐在員家庭の多くは印紙税減免の対象外

見出しだけを見ると香港の子育て世帯全般に効く制度に見えますが、印紙税減免の要件の核心は「父または母のいずれか一方が香港永久性居民であること」です。家族全員が永久性居民である必要はない一方で、両親のどちらも永久性居民でなければ対象にはなりません。

香港基本法第24条は、中国籍でない人が香港永久性居民となる要件として、有効な旅行証明書で入境したうえで7年以上継続して香港に通常居住し、香港を永久的な居住地としていることを挙げています。このため、数年の任期で赴任する一般的な駐在員家庭の多くは、香港で子どもが生まれても今回の減免を受けられない見込みです。逆に、7年以上香港に住んで永久性居民資格を得た長期滞在者や現地採用者、配偶者が香港永久性居民である国際結婚家庭にとっては、住宅取得のコストに直接効く情報になります。居屋も、所得・資産の上限など一定の条件を満たす市民向けの補助住宅制度です。日系企業の人事・総務担当者にとっては、対象になりうる社員への案内材料という位置づけになります。

背景:住宅コストと少子化対策を結びつける

香港政府は近年、出生率の低下に対応するため、新生児奨励金の支給をはじめとする出産支援策を段階的に拡充してきました。今回の施政報告も「出産・子育てに友好的な環境をさらに推進する」との位置づけで、印紙税の減免・奨励金の増額・住宅ローン上限の緩和という3つを並べ、居屋のローン上限引き上げについては頭金負担の軽減を狙いに挙げています。ただし、香港永久性居民であることが要件として明記されているのは印紙税減免だけで、新生児奨励金と居屋のローン上限引き上げには、施政報告の記載上そうした条件は付いていません。

対象になりうる家庭が確認したいこと

  • まず「父または母のいずれかが香港永久性居民か」を確認する。どちらも該当しなければ、今回の印紙税減免の対象外です。
  • 要件を満たし住宅購入を検討している場合、減免が条例改正案の可決後に発効する点に注意が必要です。購入・契約のタイミングは、施行時期の情報とあわせて判断してください。
  • 次期の居屋販売計画に白表で申請する予定の家庭は、95%のローン上限がいつの販売分から適用されるかを香港房屋委員会(Housing Authority)の案内で確認してください。

まとめ

2026年9月16日の施政報告で示された新生児家庭向けの支援は、印紙税の最大2万香港ドル減免、第2子以降の新生児奨励金3万香港ドルへの増額、居屋・白表家庭のローン上限95%の3本柱です。ポイントは、印紙税減免が「父母のいずれかが香港永久性居民の家庭」に限られること、そして条例改正案の可決後に発効する未施行の措置であることの2点です。適用条件や金額、施行時期は今後の立法過程で具体化されるため、最新の内容は必ず政府の公式発表で確認してください。

出典

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