事件・事故

香港のエレベーター耐火ドア枠欠落、152棟に拡大 約180棟が検査待ち、警察は詐欺容疑で3人逮捕

香港の昇降機業者「Taizoom Elevator Company (HK) Limited」(以下Taizoom)が設置したエレベーターで、耐火ドアに対応するドア枠の部材が付いていない問題が広がっています。エレベーターなどの設備を所管する機電工程署(Electrical and Mechanical Services Department、EMSD)によると、2026年10月18日(日)午後2時時点で新たに74棟で見つかり、該当する建物は累計152棟になりました。Taizoomが扱う建物のうち約180棟はまだ検査待ちで、件数はさらに増える見込みです。EMSDは10月15日夜の当初の発表で、ドア枠の欠落は規定への「不適合」だが、エレベーターは引き続き安全に運行できると説明しています。一方、警察は施工漏れを隠してEMSDに虚偽の報告をした疑いがあるとして、詐欺容疑で男3人を逮捕しました。

2団地の48基から、152棟へ

この問題はEMSDが2026年10月15日(木)夜に発表し、香港の英字紙The Standardも翌16日に報じました。当初の発表でEMSDが不適合を確認したのは、2つの団地の計48基(エレベーターの台数)でした。

  • 観塘(クントン)の翠屏(北)邨(Tsui Ping (North) Estate):9基(2026年2〜7月に更新)
  • 沙田(シャティン)の博康邨(Pok Hong Estate):39基(2025年5月〜2026年7月)

EMSDによると、Taizoomは耐火ドア自体は設置したものの、それに対応するドア枠の部材を取り付けていませんでした。是正は同社の費用負担で1か月以内に終える見込みで、作業は1基あたり1〜2日とされています。

EMSDは10月15日(木)に検査を始め、10月16日から数日以内に、香港全域でTaizoomが設置したエレベーターの検査を終えることを目指しています。The Standardの続報によると、その過程で10月18日午後2時時点までに該当する建物は152棟に増えました。

なお、当初の発表の「48」はエレベーターの基数、続報の「152」は建物の数です。単位も時点も異なるため、そのまま比べたり足し合わせたりはできません。

警察は詐欺容疑で3人を逮捕

The Standardが10月16日夜に報じたところでは、警察はEMSDからの付託を受けて捜査に着手し、詐欺の疑いで男3人を逮捕しました。警察によると、逮捕されたのは取締役兼株主の張姓の男(79)、技師の鍾姓の男(82)、外部コンサルタントの技師の林姓の男(63)です。

捜査は警察の新界南地区の刑事部隊が担当し、柴湾(チャイワン)の柴湾工業城(Chai Wan Industrial City)第1期にある本社を捜索しました。容疑は、施工漏れを意図的に隠し、EMSDに虚偽の報告をしたというものです。警察は、今後さらに執行措置を取る可能性も排除していません。問題は施工の不備そのものに加え、その後の報告が正しかったかどうかにも及んでいます。

同じ報道によると、公共住宅を担う香港房屋委員会(Hong Kong Housing Authority)は、大埔(タイポー)の富亨邨(Fu Heng Estate)の業主法団(区分所有者でつくる管理組合)に対し、契約の授与(発注)を直ちに見合わせるよう助言しました。

今後の見通し:約180棟の検査と他社への点検

続報の時点(10月18日午後2時)で、Taizoomが扱う建物のうち約180棟がなお検査待ちで、不適合の件数は今後も増える見込みとされています。

EMSDは、Taizoom以外の昇降機の請負業者にも同様の点検と報告を求めており、抜き打ち検査は11月中旬までに完了する予定です。当初の発表(10月15〜16日)の時点では、他社への報告期限は1か月以内とされ、同様の違反はまだ見つかっていないと説明されていました。

時期の話が2つあるので整理しておきます。「1か月以内」はTaizoomによる是正の完了見込み、「11月中旬」は他社を対象にした抜き打ち検査の完了予定で、別のものです。

自宅や職場のビルは大丈夫?

香港では高層の住宅やオフィスビルでエレベーターを毎日使うため、気になる方も多いと思います。EMSDは当初の発表で、ドア枠の欠落は不適合ではあるものの、エレベーターは引き続き安全に運行できると説明しています。

自宅や勤務先のエレベーターがTaizoomの設置かどうか気になる場合は、ビルの管理事務所や業主法団に問い合わせるのが確実です。日系企業でオフィスや社宅の管理を担当している方は、管理会社にエレベーターの設置業者と検査の状況を確認しておくと安心です。

まとめ

Taizoomが設置したエレベーターの耐火ドア枠の欠落は、10月15日夜の当初の発表で2団地48基だったものが、10月18日午後2時時点で152棟に広がりました。EMSDは運行の安全性は保たれるとしていますが、約180棟が検査待ちで件数はまだ増える見込みです。警察は施工漏れの隠蔽と虚偽報告の疑いで3人を逮捕しており、捜査も続いています。

本記事の数値は、EMSDの当初の発表(10月15〜16日)とThe Standardの10月16日以降の報道に基づきます。件数や検査の進み具合は日々変わるため、最新はEMSDの公式発表で要確認です。

出典

← トップに戻る