【ニュースの要点】
香港税務局(Inland Revenue Department, IRD)は2026年5月4日、課税年度(Year of Assessment)2025/26(2025年4月1日〜2026年3月31日の所得)分の個人所得税申告書 BIR60 を約277万件発送しました(香港政府新聞公報・IRD発表、2026年6月時点)。紙による通常ケースの提出期限は2026年6月4日で、本記事公開の2026年6月13日時点ではすでに経過しています。ただし、電子申告(eTAX)を使えば自動で1か月延長され、通常ケースの提出期限は2026年7月4日となります。まだ申告を済ませていない給与所得者の方は、eTAXでの提出が現実的な選択肢です。
ニュースの概要
香港政府新聞公報に掲載されたIRD発表の要点を、事実ベースで整理します(いずれも2026年6月時点)。
- 対象年度:課税年度2025/26(2025年4月1日〜2026年3月31日の所得)
- 発送日:2026年5月4日
- 発送件数:個人用申告書 BIR60 を約277万件
- 紙の提出期限:通常ケースは2026年6月4日(個人事業主は2026年8月4日)
- eTAX(電子申告)の提出期限:自動で1か月延長され、通常ケースは2026年7月4日(個人事業主は2026年9月4日)
- 減税:課税年度2025/26に適用される給与税等の一回限りの減税として、100%・1件あたり上限HK$3,000(前年度2024/25は上限HK$1,500。IRD発表およびgov.hkの給与税率ページ、2026年6月時点)
なお、BIR60は受領した時点で、所得がなくても期限内に提出する義務があります(IRD個人申告案内、2026年6月時点)。
対象読者
このニュースは、香港で給与を受け取るほぼすべての駐在員個人に関係します。日本の年末調整とは異なり、香港では本人が申告する仕組みのため、所得が少ない方や収入のある帯同配偶者も対象になり得ます。
企業側では、人事・経理・総務の担当者が当事者です。駐在員への期限周知や、後述する雇用主申告との整合確認が実務に直結します。
背景:香港の個人所得税は「自分で申告する」制度
香港の個人所得税は申告納税制で、BIR60を受け取った人は所得の有無にかかわらず期限内の提出が求められます(IRD個人申告案内、2026年6月時点)。税目は給与税(salaries tax)・事業所得税・固定資産税の3つに大別され、給与所得者は主に給与税の対象です。
給与税は、累進税率で計算した額と標準税率で計算した額のうち、納税者に有利な(低い)方が適用されるのが一般的な仕組みです。日本のように勤務先が源泉徴収・年末調整で完結させるのではなく、本人が申告 → IRDが査定(assessment) → 税額通知 → 納付という流れになる点が、赴任して間もない方が戸惑いやすいポイントです。
また、雇用主は毎年、従業員の給与・手当等を報告する IR56B(雇用主申告 BIR56A の付属書類)をIRDへ提出しています。社員が提出するBIR60の内容と、会社が提出したIR56Bの数値が整合していることが、円滑な査定の前提になります。
今すべきアクション
個人向け
- まだ提出していなければ、eTAXで2026年7月4日までに申告する。紙の通常期限6月4日は経過していますが、電子申告なら自動延長の期限(IRD発表、2026年6月時点)に間に合います。
- eTAXは税額の即時試算ができるため、減税(100%・上限HK$3,000)適用後の納付見込みを事前に把握できます。利用にはeTAX口座(TINとアクセスコード、または「iAM Smart」)を準備しておきましょう。
- 控除・減税の適用漏れがないか申告内容を確認する。今年度の減税は、申告に基づく確定税額から差し引かれる仕組みです。
- 赴任初年度・帰任年度は、香港滞在期間に応じた所得の按分や日本側申告との関係が生じ得ます。給与明細・赴任発令・住宅手当等の資料を整理し、複雑なケースは税理士・会計士に相談してください。
- 紙で提出する場合はIRD発行のオリジナル用紙を使う(コピー・ダウンロード版は不可)。郵送時の料金不足にも注意が必要です(IRD発表で注意喚起、2026年6月時点)。
企業向け
- 駐在員(特に香港着任・帰任が絡む社員)に対し、BIR60の提出義務とeTAX期限2026年7月4日、eTAXの利用を周知する。
- 雇用主が提出した IR56B の給与・手当・住宅供与等の数値と、社員のBIR60申告内容が整合するよう確認しておく。
- タックスイコライゼーション/タックスプロテクション契約のある駐在員については、減税(100%・上限HK$3,000)の便益を会社が受け取るか本人に帰属させるか、社内ルールと精算方針を担当税理士・会計士と整理する。
- 提出代行や税務サポートを外部委託している場合は、対象社員リストと期限(特にeTAX 7月4日)を委託先と共有し、漏れを防ぐ。
なお、未提出・遅延は督促・推計課税・追加税などの対象となり得ます。具体的な扱いや金額は、税務局の最新案内や専門家にご確認ください。
まとめ
課税年度2025/26の個人所得税申告は、紙の通常期限こそ経過していますが、eTAXを使えば2026年7月4日まで提出可能です。今年度は給与税100%・上限HK$3,000の減税が適用されるため、忘れずに申告を済ませましょう。税率・控除額や減税の取り扱いは変動し得るため、最新の内容は必ず公式(IRD・gov.hk)でご確認ください。
本記事は一般的な情報であり、個別の案件は専門家にご相談ください。
出典(閲覧日:2026年6月13日)
- 香港政府新聞公報・IRD発表「Tax returns for individuals issued」:https://www.info.gov.hk/gia/general/202605/04/P2026050400593.htm
- IRD 個人申告(BIR60)案内:https://www.ird.gov.hk/eng/tax/ind_ctr.htm
- GovHK 給与税率ページ(一括減税の確認):https://www.gov.hk/en/residents/taxes/taxfiling/taxrates/salariesrates.htm

