【ニュースの要点】
スイスのビジネススクールIMD(国際経営開発研究所/International Institute for Management Development)が運営するIMD世界競争力センター(IMD World Competitiveness Center)は、2026年6月18日に「IMD世界競争力ランキング2026(World Competitiveness Ranking 2026)」を発表しました。香港は総合2位となり、前年(2025年)の3位から1つ順位を上げ、2019年以来の高順位に返り咲きました(香港政府新聞公報/2026年6月18日発表)。
上位は1位シンガポール、2位香港、3位スイスと続きます(JETRO/China Daily HK報道、2026年6月18日)。日本は30位で、前年の35位から5つ改善しました(JETRO、2026年6月22日付)。香港は「税制(Tax policy)」と「ビジネス法制(Business legislation)」の2項目で世界1位の評価を得ています(香港政府新聞公報、2026年6月18日)。
このニュースは締切や手続きを伴う話ではありませんが、自分が住み・働く香港の国際的な評価が一段上がったという、駐在員・日系企業がそのまま「自分ごと」として受け取れる話題です。以下、内容をわかりやすく整理します。
ニュースの概要
IMD世界競争力ランキングは、各経済圏が「企業の競争力を持続的に高められる環境をどれだけ提供できているか」を測る国際指標です。単一のGDPなどではなく、4つの大分野(経済実績・政府効率性・ビジネス効率性・インフラ)を、統計データと経営者への意識調査(エグゼクティブ・サーベイ)を組み合わせて総合評価します(IMD世界競争力センター公式、2026年6月時点)。
香港の分野別の順位は、政府効率性(Government efficiency)が2位、ビジネス効率性(Business efficiency)が3位、インフラ(Infrastructure)が8位、経済実績(Economic performance)が11位でした(香港政府新聞公報、2026年6月18日)。さらに個別の評価項目では、前述の税制・ビジネス法制で世界1位のほか、金融(Finance)で2位、国際貿易・国際投資・経営慣行(Management practices)・教育(Education)で3位、公共財政・基礎インフラで4位という評価を得ています(香港政府新聞公報、2026年6月18日)。
なお、上位5位のうち4位は台湾、5位はアラブ首長国連邦(UAE)とChina Daily HK(現地大手報道)が報じています(2026年6月18日)。
読みどころ:駐在の日本人が知っておきたい視点
香港 vs シンガポール——アジア金融ハブ2都市が上位に並ぶ
今回のランキングでは、1位シンガポール・2位香港と、駐在員や日系企業がよく比較するアジアの金融ハブ2都市が上位を占めました。「香港かシンガポールか」という拠点選びの議論は駐在の現場でも尽きないテーマですが、その2都市が世界のトップ2に並んだこと自体が、両都市のビジネス環境の高さを客観的に示しているといえます。香港は総合順位でシンガポールに次ぐ2位ですが、税制やビジネス法制など個別項目では世界1位を取っており、単純な優劣ではなく評価軸ごとに強みが分かれている点が読みどころです。
香港 vs 日本——「2位と30位」の差はどこに出たのか
日本人読者に強いコントラストとして響くのが、香港2位・日本30位という差でしょう。ただし、これは感情的な優劣論で受け取るよりも、「何を測った指標で、どこに差が出たのか」を冷静に見るのが有益です。IMDは制度・効率・インフラに経営者調査を組み合わせて評価するため、政府効率性やビジネス法制、税制といった「ビジネスのしやすさ」を重視する指標です。香港はまさにこの領域で高評価を得ています。
一方の日本も、前年の35位から5つ改善しており、けっして後退しているわけではありません。JETROによれば、日本は雇用(5位)、科学インフラ(7位)、国内経済(8位)、健康・環境(9位)などが上位で、国内経済の順位改善(前年16位から8位)が全体を押し上げたと分析されています(JETRO、2026年6月22日付)。
駐在生活の実感と数字の一致——税制・ビジネス法制が世界1位
香港が世界1位を取った「税制」と「ビジネス法制」は、駐在員や日系企業が日常で感じているメリットと重なります。給与所得税(薪俸税)の税率が低くシンプルであること、法人税制(利得税)がわかりやすいこと、会社設立や運営に関わる制度が整っていることは、香港で暮らし・働くうえで多くの人が実感するところでしょう。今回のランキングは、こうした「使っていて感じる制度の使いやすさ」が、国際指標の数字としても裏づけられた形だといえます。日系企業が本社や取引先に「なぜ香港に拠点を置くのか」を説明する際の、客観的な材料としても使いやすい評価です。
ランキングの読み方——相対評価であることを踏まえて
もう一点、押さえておきたいのがランキングの読み方です。IMDの指標は制度・効率・インフラに経営者調査を加えた総合評価であり、毎年変動する相対評価です。順位は他の経済圏との比較で動くため、一つの年の上下に過度に一喜一憂せず、複数年の傾向として捉えるのが実務的です。
背景:なぜ香港は順位を上げたのか
香港政府は今回の結果について、政府効率性とビジネス効率性が引き続き高く評価されたことを歓迎しています。香港政府は、一国二制度(one country, two systems)のもとで中国本土と世界を結ぶ接続性、堅牢な制度、開放的な市場、イノベーションへの継続的な投資を、「バリューハブ(value hub)」としての香港の強みとして挙げています(香港政府新聞公報、2026年6月18日)。
また、香港政府ニュースサイト(news.gov.hk)は、上昇の要因として「自由で開かれ、安定し予測可能でビジネスフレンドリーな経済政策」「金融エコシステムの充実」「国際的なベストプラクティスとの整合」を挙げています(news.gov.hk、2026年6月18日)。
香港の順位は、近年の社会情勢や資本市場の変調を背景に一時低下した時期もありましたが、経済の回復や政府効率性の改善を追い風に、直近は改善傾向が続いての2位です。なお、IMDの指標は経営者への意識調査の比重が高いのが特徴とされています。
まとめ
香港がIMD世界競争力ランキング2026で総合2位に上昇し、税制・ビジネス法制で世界1位の評価を得たことは、いま香港で暮らし・働く日本人にとって「住む都市が国際的にどう評価されているか」を確認できる話題です。1位シンガポール・2位香港というアジア金融ハブ2都市の並び、そして香港2位・日本30位というコントラストは、雑談や本社への現地報告でも使いやすいトピックといえます。
一方で、ランキングは毎年変動する相対評価であり、個別の順位や評価項目は年ごとに動きます。最新の順位や分野別データは、IMD世界競争力センターの公式サイトや香港政府の発表で確認するのが確実です。
なお、本記事は一般的な情報であり、香港の税制やビジネス法制の具体的な適用(個人の課税や企業の設立・税務)は個別の事情によって異なります。実際の課税・法務の判断は、税理士・会計士等の専門家にご相談ください。
出典
- 香港政府新聞公報(info.gov.hk)「Hong Kong rises to rank second globally in World Competitiveness Yearbook 2026」(2026年6月18日)(閲覧日:2026年7月5日)
- news.gov.hk「HK ranks second on competitiveness」(2026年6月18日)(閲覧日:2026年7月5日)
- IMD World Competitiveness Center 公式サイト(World Competitiveness Ranking)(閲覧日:2026年7月5日)
- JETRO ビジネス短信「2026年版IMD世界競争力ランキング、スイスが3位に後退、日本は30位に上昇」(2026年6月22日付)(閲覧日:2026年7月5日)
- 〔China Daily Hong Kong〕「IMD: Hong Kong is the world’s second-most competitive economy」(2026年6月18日)(閲覧日:2026年7月5日)

