医療・健康

香港・養和医院でレジオネラ症の院内感染、給水機の水が感染源とほぼ特定 同型機も陽性・137人監視

香港の私立病院、養和医院(Hong Kong Sanatorium & Hospital)の入院患者に確認されたレジオネラ症について、衞生署傘下の衞生防護中心(Centre for Health Protection、CHP)は2026年8月4日、感染源は病棟フロアのパントリー(給湯室)にある給水機の水である可能性が極めて高いと発表しました。水と患者の菌株が遺伝子型別で一致したためで、機器内部に滞留した温水と導水管の消毒・洗浄不足も指摘されています。

病院は院内の同型機を含む対象機器の使用を停止し、患者にはボトル水を提供しています。同じフロアにいた患者137人が医学的監視下ですが、追加の発症者は出ていません。

4月の入院から8月の感染源特定までの経緯

衞生署の発表(2026年7月10日・8月4日)によると、経緯は次のとおりです。

  • 2026年4月1日:89歳の男性が基礎疾患の治療のため養和医院に入院。
  • 6月26日〜7月4日:衞生署が示した潜伏期間。患者はこの間ずっと入院していました。
  • 7月6日:息切れが悪化し、同日採取の呼吸器検体から Legionella pneumophila(非血清群1)を検出。治療で改善し、7月10日の発表時点で容体は安定。
  • 7月10日:CHPが院内感染例と判断。病院にシャワー室の使用停止、給水系統の徹底消毒、細菌フィルターの早期設置を指示したと公表。
  • 8月4日:CHPが感染源をほぼ特定したと発表。

当該フロアのパントリーにある給水機の水2検体から Legionella pneumophila(非血清群1)が3〜16.6 cfu/mL 検出され、病院の高リスク区域の給水系統に適用される行動基準値0.1 cfu/mL を大幅に超えました。この基準は病院の高リスク区域向けで、家庭やオフィスには当てはまりません。遺伝子型別(sequence-based typing)では水と患者の呼吸器検体の菌株が同一と判明し、CHPは「患者が当該機器から供給された水を飲んだことで感染した可能性が極めて高い」と結論づけました。建物の水タンクから採取した水2検体は陰性でした。

発表が指摘した機器の構造と清掃状況

CHPと機電工程署(EMSD)の詳細調査によると、この機器は内蔵冷却系統に長いコイル状の金属導水管を持ち、未使用時は内部に温水が滞留してレジオネラが増えやすい温度が長く続き、その水がそのまま飲用に供給される構造です。導水管の定期的な消毒・洗浄も行われていませんでした。

機種名は「BC-Tap Classic BA-Heat Exchange」、供給業者は Aqua Vital Water Filtration Systems Ltd で、業者情報によればこの機種は養和医院にのみ供給され、他の病院には納入されていません。院内の同型機からも水19検体・環境1検体を採取し、水4検体と環境1検体が陽性(0.3〜12.9 cfu/mL)、2検体は検査中です。病院はCHPの指示で当該病棟の給水系統も消毒しています。

「飲んで感染」と公式解説の関係は説明されていない

CHPの解説ページは「人から人への接触や、飲食によって感染することはない」と記載する一方、今回の発表は「水を飲んだことによる感染の可能性が極めて高い」としています。両者の関係について発表資料に説明はなく、本記事でも推測は加えません。

リスクの大きさをどう見るか

発症が確認されたのは入院患者1名で、同じフロアにいた137人に追加の発症者は出ていません(2026年8月4日時点)。「人から人へはうつらない」はCHPの公式記載であり、見舞いや受診で人づてに広がる心配は基本的に不要です。

一方、陽性検体は当該1台にとどまらず、日常的に使う飲料水の機器で滞留水と清掃の不足が指摘された点が、この事案の実務的なポイントです。

背景:香港でのレジオネラ症

香港ではレジオネラ症は珍しくなく、CHPの法定届出統計では2025年は通年167件、2026年は1〜6月で87件が届け出られています(2026年分は7月10日時点の暫定集計。最新はCHP公式で要確認)。潜伏期間は約2〜10日、主な症状は発熱、咳、息切れ、倦怠感、頭痛、筋肉痛で、かかりやすいのは男性、50歳超、喫煙者、大量に飲酒する人、免疫力が低下している人です(衞生署・CHP、2026年8月時点)。

読者が押さえておきたい実務ポイント

  • 入院・付き添い・見舞いの予定がある方:院内の飲料水は病院の掲示やスタッフの案内に従ってください。感染が起きたフロアの番号や病棟名は公表されていません。
  • 高齢者や免疫力が低下した家族がいる世帯:発熱・咳・息切れが出たら早めに受診し、直近の入院歴を医師に伝えてください。
  • 設備を管理する担当者:衞生署が8月4日に「Code of Practice for Prevention of Legionnaires’ Disease」の厳守を求める書簡を出した相手は香港の全私立病院で、一般の施設向けの指示ではありません。給水設備の保守記録を見直すきっかけにはなります。

まとめ

8月4日の発表で感染源はほぼ特定されましたが、同型機の検査は一部が続いており、CHPはレジオネラ症予防委員会(PLDC)で疫学調査と感染原因を報告する予定です。状況は今後の発表で更新されうるため、最新の情報は衞生署・衞生防護中心の公式発表で確認してください。

出典

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