暮らし・生活

香港、短期研修向けの新ビザを導入へ 申請開始は早ければ2027年1〜3月の見通し(報道)

ニュースの要点

香港政府は2026年9月16日の施政報告(Policy Address、行政長官が毎年示す施政方針)で、香港の政府の局・部門が認定する短期研修プログラムに、香港居民ではない人(非香港人)が参加できる新しいビザ区分を導入すると表明しました。香港を「地域の研修ハブ」に育てる狙いです。

ただし、施政報告に書かれているのは「導入する」というところまでです。開始時期や滞在期間、就労の可否は書かれていません。一方、2026年9月19日付の南華早報(South China Morning Post、SCMP)の報道(The Starが転載)は政府筋の話として、申請受付は早ければ2027年第1四半期(1〜3月)に始まる可能性があり、詳細は2026年末までに発表される見込みと伝えています。

日系企業の人事・総務担当者にとっては、研修目的で人を香港に呼ぶときの新しい在留の枠ができる見込みです。ただ、企業の研修派遣に使えるのか、どこが認定し、どう申請するのかは2026年10月時点で発表されていません。

施政報告で「確定」している内容

2026年施政報告の段落152では、人材や人の往来を呼び込む施策として次の4点が示されています(2026年9月時点)。

1. 短期研修向けの新ビザ(段落152(iv))

局・部門が認定する香港での短期研修プログラムに非香港人が参加できるよう、新しいビザ区分を導入するとしています。目的は、香港を地域の研修ハブとして発展させることです。

2. 高才通のテック系スタートアップ人材の延長要件を緩和(段落152(ii))

高才通(Top Talent Pass Scheme、TTPS=高度人材を呼び込むための在留制度)では、在留延長の要件が緩和されます。対象は、指定の公的機関が支援するテック系スタートアップの経営者です。延長を申請するとき、会社の収入の証明などの要件が免除されます。高才通の保持者全員に向けた緩和ではない点に注意が必要です。

3. 人材リストにAI関連職種の追加を「検討」(段落152(i))

人材リスト(Talent List=香港で人材が不足している専門職をまとめたリスト)は現在60職種です。施政報告ではここにAIの応用に関わる職種を加えることを「検討する(Consider)」としています。追加が決まったわけではありません。

4. 入境便利計画の対象地域を拡大(段落152(iii))

入境便利計画(Immigration Facilitation Scheme for Invited Persons=政府が招いた人の入境を円滑にする仕組み)の対象を、ASEAN加盟国から中央アジア・中東の国と地域へ広げます。あわせて、すべての局・部門が招待できるようになります。

報道が伝える見通し(未確定)

研修ビザの具体的な条件について、SCMPの報道(2026年9月19日、The Star転載)は政府筋の話として次のように伝えています。いずれも正式な制度の詳細ではなく、施政報告にも書かれていません。

  • 申請開始:早ければ2027年第1四半期の可能性。詳細は2026年末までに発表される見込み
  • 対象:政府が認定した、期間12か月未満の研修プログラム
  • 就労:滞在中のパートタイム就労は禁止。ただし、プログラムが提供する実習(インターンシップ)は除く。政府筋は「パートタイムで働けば不法就労者になる」と述べています
  • 研修後:研修を終えたあとは香港に残れない

同じ報道は、政府筋の話として、短期研修を希望する人に合ったビザ区分がこれまでなかったと伝えています。

読みどころ:日系企業・在住者にどう関わるか

日本や他のアジア拠点から香港に人を呼んで研修を受けさせたい企業にとって、研修そのものを目的とした在留の枠ができることは、今後の選択肢に関わる変化です。ただ、制度の対象は「局・部門が認定する研修プログラム」とされており、企業の社内研修や研修派遣が当てはまるのかどうかは、2026年10月時点で分かっていません。認定する部門、プログラムの要件、申請の手続きも未発表です。

また、報道どおりなら研修中の就労はプログラムの実習を除いて認められず、研修後に香港に残ることもできません。報道どおりであれば、香港で働くためのビザではなく、研修のための短期滞在の枠という位置づけになりそうです。

在住者のうち、高才通で香港に滞在しているテック系スタートアップの経営者は、延長要件の緩和が関わる可能性があります。ただし対象は「指定の公的機関が支援する」スタートアップの経営者に限られます。

まとめ

  • 2026年9月16日の施政報告で、短期研修向けの新ビザ導入が公式に表明された
  • 申請開始が早ければ2027年第1四半期、就労不可、研修後の滞在不可といった条件は報道(政府筋)による見通しで、正式な詳細は2026年末までに発表される見込み
  • 高才通の延長要件の緩和は、指定公的機関が支援するテック系スタートアップの経営者が対象
  • 人材リストへのAI関連職種の追加は検討段階

研修ビザの具体的な条件は、年末の詳細発表で固まる見通しです。制度の内容は今後変わる可能性があるため、最新は香港政府・入境事務処(Immigration Department)の公式発表で確認してください。

出典

← トップに戻る