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香港7月CPI、総合1.7%に鈍化も基本通脹率1.9%は横ばい

香港政府統計處(Census and Statistics Department)は2026年8月20日、7月の総合消費者物価指数(総合CPI)が前年同月比1.7%上昇したと発表しました。6月の2.0%から伸びが縮み、一見「物価上昇が落ち着いた」ように見えます。しかし一時的な救済措置の影響を除いた基本通脹率(Underlying CPI)は1.9%で6月と同水準のまま。電気・ガス・水道は前年同月比10.8%と二桁の上昇が続いており、「安くなった気がしない」という実感には統計上の理由があります。以下、RTHKと香港商報の報道をもとに整理します。

総合CPIは1.7%、実勢は1.9%で横ばい

2026年7月の数字は次のとおりです(2026年8月時点の発表値)。

  • 総合CPI:前年同月比 +1.7%(2026年6月は+2.0%)
  • 基本通脹率(一時的な救済措置の影響を除く):+1.9%(6月と同水準)

総合CPIは政府の措置の影響をそのまま含んだ数字で、基本通脹率はそれを除いた「実勢」の数字です。今回は総合CPIだけが下がった形で、物価上昇の圧力そのものが弱まったわけではありません。

品目別では電気・ガス・水道が突出

2026年7月の品目別の変化率(すべて前年同月比)は次のとおりです。

品目 前年同月比
電気・ガス・水道 +10.8%
交通 +5.0%
雑多サービス +4.9%
雑多物品 +2.3%
外食・テイクアウト +0.9%
衣類・履物 +0.6%
たばこ・酒 +0.1%
住居費 +0.1%
耐久消費財 -0.2%
基本食品 -0.2%

数値はすべて前年同月比(按年)であり、複数月を足し上げた累積上昇率(累升)ではありません。負担感を押し上げているのは光熱費と交通費で、基本食品と耐久消費財はわずかに下落しています。「上がっているもの」と「上がっていないもの」がはっきり分かれているのが2026年7月の特徴です。なお10.8%は電気・ガス・水道の合算値で、それぞれ個別の伸び率までは今回報じられた範囲では確認できていません。

なぜ「鈍化」して見えるのか——差餉減免による基準時点のズレ

総合CPIが6月の2.0%から7月は1.7%へ縮んだ理由について、香港政府統計處は差餉(Rates、香港の不動産に課される税)の減免措置を挙げています。2026年7月分には減免があった一方、比較対象の2025年7月分には減免がなく、前年同月比の計算上有利に働いたという説明です(2025年・2026年とも6月分には減免があったため、6月の前年同月比には影響していません)。

つまり今回の鈍化は物価そのものが下がったからではなく、比べる相手の条件が違ったこと(基準時点のズレ)による見かけ上のものという位置づけです。基本通脹率が1.9%で横ばいだったことがその裏づけといえます。一方、電気・ガス・水道や交通の伸びが高いままなのは国際的な原油価格上昇の波及とされ、政府は中東情勢の緊張を先行きの不確実要因として挙げています。

香港で暮らす人・日系企業にとっての読みどころ

家計の観点では、「総合1.7%」を生活コストの実感値として受け取らないことが大切です。減免という一時的な措置で押し下げられた数字であり、光熱費に限れば10.8%という二桁の伸びが続いています。冷房需要が大きい夏場に電気代の請求額が想定を超えても、統計上は説明のつく動きです。

当サイトでは2026年7月31日付で、香港の電力2社(中電=CLP、港燈=HK Electric)が8月から燃料調整費を引き上げると既報しました。今回のCPIは、家庭の光熱費が実際にどの程度上がっているかを公式統計の側から裏づける内容です(8月実施の引き上げ分が今回の7月CPIにどこまで反映されているかは、時期がずれるため今回の発表からは判断できません)。

日系企業の管理部門にとっては、駐在員の生活費補助(COLA)や住宅手当、現地経費の予算を見直す材料になります。総合CPIを一律の改定率としてそのまま使うのか、実勢の基本通脹率1.9%や光熱費・交通費といった伸びの大きい項目の重みを見るのかで結論は変わり、措置が切れた後の反動も含めて考えておきたいところです。

まとめ

2026年7月の香港の総合CPIは前年同月比1.7%と6月から鈍化しましたが、これは差餉減免という一時的な措置による見かけ上の動きで、実勢を示す基本通脹率は1.9%と横ばいでした。品目別では電気・ガス・水道が10.8%、交通が5.0%と伸びが大きく、基本食品と耐久消費財は小幅な下落でした。「全体は落ち着いたが、光熱費は上がり続けている」という構図です。

CPIは毎月更新され、過去の値が改定されることもあります。手当や予算の根拠として使う場合は、最新の数値を香港政府統計處の公式発表で必ずご確認ください。

出典

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