経済

香港の2026年の平均昇給率は2.8%、物価を差し引いた実質は1.1%で2022年以来の低水準(HKIHRM調査)

【ニュースの要点】
香港人力資源管理学会(Hong Kong Institute of Human Resource Management, HKIHRM)と中智管理諮詢が実施した2026年の給与動向調査(Pay Trend Survey)の結果が2026年9月24日(木)に公表され、The Standard・星島日報・商業電台などが報じました。報道によると、香港の2026年の平均昇給率は2.8%で、前年の2.7%から0.1ポイントの上昇にとどまりました。物価上昇を差し引いた実質は1.1%で、2022年以来の低水準です。一方、賃金を据え置いた(凍結した)機関は6.7%と前年の11.4%から減り、昇給を見送る機関は減った一方で、伸び幅は薄い結果になりました。2027年の見通しは2.9%ですが、昇給を明言した機関は44%にとどまります。

調査の概要

調査は2026年1〜9月に行われ、香港の173機関・12業種、フルタイムの従業員約18万人が対象です。政府の統計ではなく、民間の学会がまとめた調査で、今回の数値は各紙の報道に基づきます(2026年9月時点)。商業電台と星島日報は、調査主体をHKIHRMと中智管理諮詢と伝えています。

昇給率と賃金凍結

名目2.8%と実質1.1%

平均昇給率2.8%から物価上昇を差し引いた実質は1.1%でした。商業電台の報道によると、この1.1%は今年1〜7月の総合消費者物価指数(CPI)の上昇率1.7%を差し引いた、基本給の実質の上昇幅です。実質はプラスで、賃金の伸びが物価を上回ってはいますが、その幅が小さいということです。

機関ベースと従業員ベース

昇給の有無は、数える単位によって数字が変わります。

  • 機関ベース:92.6%の機関が昇給し、6.7%が凍結(凍結は前年11.4%から4.7ポイント低下)
  • 従業員ベース:86.2%の従業員が昇給(前年比4.5ポイント増)、13.8%が凍結(同4.5ポイント減)(商業電台の報道)

給与を決めるうえで最も重視した要因として、77%の機関が「会社の業績」を挙げました。その次に香港の経済状況、市場・競合の給与調整などが続きます。

企業タイプ・規模・業種で差

企業タイプ別では、多国籍企業が3.1%、ローカル企業が2.6%でした。規模別では小規模機関の昇給幅が最も大きく3%です。

香港の業種別では、報道で次の6業種の数値が示されています(12業種のうち)。

業種 平均昇給率
購買 3.8%
銀行・金融サービス(資産運用・保険を含む) 3.8%
物流・運輸 3.4%
もてなし・飲食 2.4%
建設・エンジニアリング・建築 2.2%
会計・専門サービス 2.0%

賞与

額が固定されていない非固定賞与(non-fixed bonus)の制度がある機関は83.9%で、対象従業員への平均支給額は基本給の1.56か月分でした。職位別では上級職が最も多く3.25か月分です。星島日報は、1.56か月分が前年より増えたと報じています。固定賞与の平均は基本給1か月分で、横ばいでした。

2027年の見通し

2027年の香港の平均昇給率の見通しは2.9%です。ただし、2027年に昇給すると明言した機関は44%で、残る56%は経済の先行きが不透明なため未定としています。

参考までに、前年の調査(2025年10月公表)の時点では、企業による2026年の見通しは3.5%でした(前年の調査対象は167機関・14万人超で、今年とは社数・人数が異なります)。

読みどころ:自分の数字と比べるときの見方

  • 全体平均より近い区分で見る:全体は2.8%ですが、企業タイプ・規模・業種で2.0%から3.8%まで幅があります。自社や自分の勤め先に近い区分(企業タイプ・規模・業種)に当てはめて比べるのが現実的です。
  • 機関ベースと従業員ベースを混ぜない:凍結の割合は、機関で数えると6.7%、従業員で数えると13.8%です。母数が違うため、並べて比べる際は単位をそろえる必要があります。
  • 年収で比べるなら賞与もそろえる:固定賞与(平均1か月分)と非固定賞与(平均1.56か月分、上級職3.25か月分)は別枠です。昇給率だけでなく、賞与の有無と種類を合わせて見ると比較しやすくなります。

背景

HKIHRMの前会長で理事会メンバーの孔于人(Lawrence Hung Yu-yan)氏は、外部の高金利や資産市場の変動などのリスクが残る一方、香港の雇用市場は分化しながら改善していると説明しました。企業は給与調整に慎重で、資源を中核となる人材に振り向けているといいます。星島日報の報道によると、同氏は実質の伸びが小さい理由として、香港は外向型経済で地政学リスクや戦争の影響を受けやすく、運営コストも上昇したことを挙げました。

また孔氏は、昇給の余地が限られる中では昇給だけに頼らず、研修、福利厚生の改善、家庭に優しい施策を組み合わせた長期的な人材定着策を取るよう提言しています。

まとめ

2026年の香港の昇給は平均2.8%で、賃金を凍結する機関は減った一方、物価を差し引いた実質は1.1%と伸びは薄い結果でした。業種や企業タイプによる差も大きく、2027年は2.9%の見通しながら過半の機関が未定です。本調査は2026年1〜9月の回答に基づき、2026年9月24日に公表されたものです。最新は公式で要確認してください。

出典

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