【ニュースの要点】
- 香港では2025年1月1日以降に開始する会計年度から、グローバル・ミニマム課税(実効税率15%)と香港ミニマム・トップアップ税(HKMTT)が適用されています(税務局(Inland Revenue Department)、2026年6月時点)。
- 対象となるMNE(多国籍企業)グループの香港構成事業体は、毎年「トップアップ税通知(top-up tax notification)」を会計年度末から6か月以内に電子提出する義務があります。
- 12月決算グループの初回期限は2026年6月30日、3月決算グループは2026年9月30日です。
- あわせて、GloBE情報申告書(GIR)のXMLスキーマと利用ガイドが税務局のBEPSページで公表されています(2026年6月時点)。
ニュースの概要
香港のグローバル・ミニマム課税は、2025年6月6日に成立した税務(修訂)(跨国企業集団最低税負)条例2025(Inland Revenue (Amendment) (Minimum Tax for Multinational Enterprise Groups) Ordinance 2025)に基づくものです(税務局、2026年6月時点)。ポイントは次のとおりです。
- 対象: 直前4会計年度のうち2年度以上で連結売上高7.5億ユーロ以上のMNEグループ。
- 適用開始: 2025年1月1日以降に開始する会計年度。
- 税率: グローバル・ミニマム課税として15%。香港ではHKMTTがIIR(所得合算ルール)・UTPR(軽課税所得ルール)に優先して適用されます。
- トップアップ税通知: 対象グループの香港構成事業体は、会計年度末から6か月以内に通知を電子提出。グループ内の指定1社(designated local entity)による代表提出が認められています。
- 提出方法: 税務局のPillar Two Portal(2026年1月19日に第1段階稼働)経由。
- GIR(GloBE情報申告書): 提出期限は会計年度末から15か月以内(初年度は18か月に延長)。XMLスキーマ・利用ガイドが公表済みです。
誰に影響するか
直接の影響を受けるのは、連結売上高7.5億ユーロ以上の日系企業グループの香港現地法人です。日本の大手企業グループの香港子会社・地域統括会社の多くが該当し得ます。実務を担うのは経理・税務部門で、駐在員個人の給与税(salaries tax)には影響しません。
中小規模の日系企業(グループ連結売上高が基準未満)は対象外ですが、自社が対象かどうかの確認は本社の連結ベースで行う必要がある点にご注意ください。
背景
OECD/G20のBEPS 2.0「第2の柱」(Pillar Two)の国際合意に基づき、各国・地域で15%のグローバル・ミニマム課税の法制化が進んでいます。香港も2025年に法制化し、HKMTTはQDMTT(適格国内ミニマム・トップアップ税)としての設計を意図しています。低税率が魅力とされてきた香港でも、対象グループには最低15%の実効税率が確保される枠組みです。
今すべきアクション
企業(経理・税務部門)向け:
- 自社グループが対象(連結売上高7.5億ユーロ以上)かを本社税務部門と確認する。
- 香港構成事業体を棚卸しし、代表提出する指定事業体を決める。
- Pillar Two Portalへの登録・提出準備を進め、12月決算グループは2026年6月30日まで(3月決算グループは2026年9月30日まで)にトップアップ税通知を提出する。
- GIRの準備として、公表済みのXMLスキーマ・利用ガイドを確認する。
- 通知・申告の不履行には税務条例(IRO)第80O条・第82条・第82A条の罰則が適用されるため、期限管理を徹底する。
駐在員個人向け:
- 経理・税務担当の駐在員の方は、対応状況(対象判定・指定事業体・Portal登録)を早めに確認してください。12月決算グループの場合、期限まで残り約3週間です。
まとめ
香港のグローバル・ミニマム課税は2025年開始会計年度から既に適用されており、12月決算の対象グループにとって2026年6月30日のトップアップ税通知が最初の実務期限です。適用判定やQDMTTセーフハーバーの取り扱いは個社の事実関係によって異なります。本記事は一般的な情報であり、個別の案件は税務アドバイザー等の専門家にご相談ください。最新の情報は税務局の公式ページでご確認ください。

