経済

香港税務局、12月決算法人の利得税申告期限を8月31日に延長

香港税務局(Inland Revenue Department、IRD)は2026年7月14日付の税務代理人向け通達で、2025/26課税年度の利得税申告書(Profits Tax Return)のうち、決算日が2025年12月1日〜12月31日の「Dコード」に当たる法人・パートナーシップの提出期限を延長しました。紙(書面)提出は8月17日から8月31日へ、電子提出は9月17日から10月2日へ、それぞれ約2週間の後ろ倒しです(いずれも2026年)。

延長されたのはDコードだけで、NコードとMコードの期限は動いていません。さらに、この延長が効くのは税務代理人(tax representative、会計事務所など)を通じてブロック延長制度(Block Extension Scheme)の適用を受けている会社に限られます。「12月決算だから2週間得した」で済む話ではありません。まずは自社の決算日がどのコードに当たるのかを確認するところから始めてください。

何が変わったのか

通達は陳施維(Benjamin CHAN Sze-wai)税務局長の署名で発出されました。2026年7月時点でIRDが公表している2025/26年度の期限は次のとおりです。

コード 決算日 紙提出 電子提出
N 2025年4月1日〜11月30日 ブロック延長なし(2026年5月4日・経過済み) 2026年6月4日(経過済み)
D 2025年12月1日〜12月31日 2026年8月31日(8月17日から延長) 2026年10月2日(9月17日から延長)
M 2026年1月1日〜3月31日 2026年11月16日 2026年12月16日

Mコードで当年度が欠損(ロス)となる会社は、提出する申告書が実際に欠損を示していることを条件に、申請により2027年2月1日まで延長できます(申請期限は2026年11月2日、個別案件は例外的に11月16日まで)。

香港の利得税申告は会社の決算日によってN・D・Mの3コードに割り振られ、期限が別々に設定されます。今回動いたのはDコード、つまり2025年12月決算の法人だけで、2026年3月決算のMコードに変更はありません。見出しだけで判断せず、自社の決算日から該当コードを特定してください。なお、今回の延長がN・Mコードに波及するかどうかは、2026年7月時点で発表されていません。

延長が効くのは「税務代理人がいる会社」だけ

見落とされやすい前提があります。この延長は、税務代理人がブロック延長制度を通じて延長を申請している納税者にのみ適用されます。

税務代理人を立てていない法人の期限は、申告書の交付日から1カ月のままです。2025/26年度の利得税申告書は2026年4月1日(活動中のファイル)・4月2日(見直し対象の非活動(inactive)ファイル)に一括交付されており、代理人なしの会社の期限はすでに経過しています。まずは顧問の会計事務所に、自社がブロック延長の対象リストに入っているかを確認してください。

電子申告なら10月2日まで——ただし申請が要る

紙提出の8月31日に対し、電子申告(e-filing)を選べば10月2日まで、さらに1カ月の猶予が得られます。この追加延長を任意で取る場合はBusiness Tax Portal(BTP)経由でe-fileすることが条件で、申請は期限の7営業日前までにIRDへ到達している必要があります。具体的な締切日はIRDが日付として公表していないため、税務代理人に早めに確認しておくのが安全です。

また、直前4会計年度のうち2年度以上で年間連結収入7億5,000万ユーロ以上の多国籍企業グループ構成企業(Part 4AA Entity)は、2025/26年度以降のBIR51/BIR52について電子申告が義務化されています。2026年3月より前にIRDへ届出済みであれば追加1カ月は自動適用されますが、未届出で紙の申告書を受け取っている場合は個別の延長申請が必要です。

なぜ今、延長したのか

IRDは通達のなかで、延長の理由を「事業者と実務家が新しい税務コンプライアンス要件に適応するのを支援するため」としています。ただし、その「新しい要件」が具体的にどれを指すのかは通達に明記されていません。

もっとも、2025/26年度は香港の法人申告の実務が大きく切り替わった年です。2026年3月19日付のブロック延長制度通達などで確認できる変更点は、(1)2026年4月以降、税務代理人によるブロック延長の申請・届出が税務代理人ポータル(Tax Representative Portal、TRP)経由の電子提出のみになったこと、(2)Part 4AA Entityへの強制電子申告が始まったこと、(3)電子モード・半電子モードで申告する場合は財務諸表・税務計算書をiXBRL形式で提出する必要があり、補足フォーム(S1〜S22)のXMLでの電子提出は紙・電子いずれの申告方式でも求められること——です。紙モードで申告する場合、財務諸表・税務計算書は紙のまま提出でき、iXBRLでの提出は任意です。

「2週間の余裕ができた」というより、電子申告への移行作業に充てるための猶予と受け止めるほうが実態に近そうです。

期限に間に合わないとどうなるか

延長後の期限をさらに超える追加延長は「最も例外的な場合」に限られ、期限の14日以上前に理由と裏付け資料を添えた書面申請が必要です。期限後の申請や電話での依頼は受け付けられません。

提出が遅れた場合は、推計課税(estimated assessment)の発行や、内国歳入条例(Inland Revenue Ordinance、Cap.112)第80条・第82A条に基づく罰則手続きの対象となりえます。監査や親会社レビューの遅れで間に合わない可能性があるなら、期限直前ではなく早い段階で代理人に相談してください。

今すべきこと

  • 自社の決算日から該当コードを確認する(2025年12月決算ならDコードで今回の対象)。
  • 税務代理人に、自社がブロック延長制度の対象になっているかを確認する。
  • Dコードの会社は紙8月31日/電子10月2日から逆算し、監査完了・親会社レビュー・署名回付の日程を組み直す。
  • 電子申告で10月2日まで取るなら、「期限の7営業日前まで」の要件を踏まえ、実際の申請締切を代理人に確認する。
  • Part 4AA Entityに該当しうるグループは、届出状況を親会社の税務部門と突き合わせる。

IRDは通達のなかで、延長後も可能な限り多くの申告書を期限よりかなり前に提出するよう税務代理人に求めています。ぎりぎりに寄せない前提で計画するのが無難です。

まとめ

今回の延長は2025/26年度・Dコード(2025年12月決算)に限定された措置で、紙8月31日・電子10月2日、そして税務代理人経由でブロック延長を受けていることが適用の前提です。ここに当てはまらない会社にとっては、期限は何も変わっていません。

本記事の期限はいずれも2026年7月時点でIRDが公表している値です。Part 4AA Entityへの該当可否や追加延長申請の実際の締切は個社で異なり、IRDが今後さらに通達を出すこともあります。最新の情報は税務局の公式発表で必ず確認してください。ブロック延長制度(利得税)の問い合わせ先は、IRDのUnit One(電話2594 1500)です。

出典

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