香港で路線バスを運行する専営バス会社(政府から路線の運行権=専営権を得た事業者、Franchised Bus)4社が運賃の値上げを申請していることが、運輸物流局(Transport and Logistics Bureau)が立法会(Legislative Council、香港の議会)に提出した文書で、2026年10月14日に明らかになりました。申請幅は城巴(Citybus)17.7%、九巴(KMB)16%、新大嶼山巴士(New Lantao Bus、NLB)9.8%、龍運巴士(Long Win Bus)8.1%です。理由は中東情勢に伴う燃料費の高騰とされています。ただし現時点では申請の段階で、承認も新しい運賃額も決まっていません。最終決定は行政長官が行政会議に諮って行い、決定・実施の時期は2026年10月16日時点で公表されていません。
4社の申請幅と前回の改定(2026年10月時点)
| 会社 | 今回の申請幅 | 申請日(2026年) | 前回の改定(実施日・率) |
|---|---|---|---|
| 城巴(Citybus)※市区・新界の路線 | 17.7% | 4月2日 | 2025年1月5日・7.5% |
| 九巴(KMB) | 16% | 4月24日 | 2025年1月5日・4.3% |
| 新大嶼山巴士(NLB) | 9.8% | 4月30日 | 2025年1月5日・6.5% |
| 龍運巴士(Long Win) | 8.1% | 4月24日 | 2023年6月18日・4.2% |
申請日は、東網(on.cc)が政府文書をもとに報じた日付です。2025年1月の3社の改定率は加重平均です。今回の申請幅は、前回2024年の申請(政府新聞公報の添付資料によると九巴6.5%、城巴9.5%、新大嶼山巴士6.5%)をいずれも上回っています。
理由は燃料費の高騰、利益も減少
報道によると、2026年3月の燃料の調達価格は同年1月と比べて約75%〜134%上がり、燃料支出は約85%〜132%増えたとされます。
利益については、対象期間の異なる2種類の数字が報じられています。
- 2026年1〜3月:税引後利益が前年同期比でおおむね20%〜30%減(東網)
- 2026年6月までの期間(臨時推計・前年同期比):九巴約55%減、城巴約52%減、龍運巴士約31%減、新大嶼山巴士約129%減(RTHK中国語版)
申請率がそのまま新運賃になるとは限らない
運賃を最終的に決めるのは、行政長官会同行政会議(Chief Executive in Council:行政長官が、政策決定を補佐する行政会議〈Executive Council〉に諮って決める仕組み)です。政府の専営バス運賃調整の仕組み(Fare Adjustment Arrangement for Franchised Buses)では、2024年12月の政府発表時点で、次の点を総合的に考慮するとされています。
- 前回改定以降のコストと収入の変化、今後のコスト・収入・収益の見通し
- 事業者が合理的な収益を得る必要性
- 市民の受け止め方と負担能力、サービスの質と量
- 所定の算式で求める参考値(supportable fare adjustment rate)。あくまで参考で、自動的に運賃を決めるものではありません
RTHK(中国語版)は、政府が上げ幅を高すぎると判断すれば、率を引き下げたり、申請を認めなかったりすることもできると伝えています。前回(2024年)は、九巴が6.5%の申請に対して4.3%(政府の「專營巴士豁免隧道費基金」〈Franchised Bus Toll Exemption Fund〉で0.9ポイント分を軽減した後の率。軽減前は5.2%)、城巴が9.5%の申請に対して7.5%で承認されました。新大嶼山巴士は申請どおりの6.5%でした。決定は2024年12月17日、実施は2025年1月5日です。
陳美寶(Mable Chan)運輸物流局長は、さまざまな要素を総合的に考慮し、バス会社の経営状況、コストと収入の見通し、長期的な財務、市民へのサービスへの影響を慎重かつ詳細に検討すると述べ、政府が「ゲートキーパー(審査の門番)」の役割を果たすと強調しています(2026年10月14日のRTHKの報道)。
10月16日に立法会の交通事務委員会
東網は、立法会の交通事務委員会(Panel on Transport:交通政策を扱う立法会の委員会)が2026年10月16日(金)に会議を開き、今回の申請について討論すると報じています。The Standardも、早ければ同日に同委員会で議論される見通しだと伝えています。
事前の報道(am730)によると、同委員会の陳恒鑌(Ben Chan)主席は、行政会議に対して持続可能性と市民の負担能力のバランスを取るよう求め、車庫や乗換所の商業利用など、運賃以外の収入源の開拓も提案しました。委員会での議論の内容は、今後の報道や立法会の公式記録で確認する必要があります。
暮らしと企業への影響
バスは通勤・通学や日々の移動に欠かせないため、申請どおりに認められれば家計や会社の交通費に響きます。ただし、2026年10月16日時点で分かっているのは各社の申請幅までで、実際の上げ幅が申請どおりになるとは限りません。路線ごとの新運賃は、決定後に政府や各社が公表する内容で確認することになります。
前回は決定から実施まで3週間弱でした。通勤手当や交通費精算の規定を扱う企業の担当者は、行政会議の決定が発表された段階で、実施日と社別の率を確認しておくと対応しやすくなります。現時点で個人・企業が行うべき手続きはありません。
まとめ
香港の専営バス4社が8.1%〜17.7%の運賃値上げを申請していることが、2026年10月14日に明らかになりました。理由は燃料費の高騰です。最終判断は行政長官会同行政会議が行い、承認される率と実施時期は未公表です。前回は九巴・城巴が申請より低い率で承認されました。運賃は今後変わる可能性があるため、最新は香港政府と各バス会社の公式発表で要確認です。
出典
- 香港政府新聞公報:専営バス運賃調整に関する発表(2024年12月17日)(2026年10月16日閲覧)
- 香港政府新聞公報 添付資料(Annex):2024年の専営バス各社の申請率・承認率(英文PDF)(2026年10月16日閲覧)
- news.gov.hk(香港政府ニュース):専営バス運賃調整に関する記事(2024年12月17日、英文)(2026年10月16日閲覧)
- 〔RTHK〕Franchised buses seek fare rises of 8.1 to 17.7 pct(2026年10月14日、英文)(2026年10月16日閲覧)
- 〔RTHK〕専営バス運賃値上げ申請に関する報道(2026年10月14日、中国語)(2026年10月16日閲覧)
- 〔RTHK〕専営バス運賃値上げ申請に関する関連報道(2026年10月14日、中国語)(2026年10月16日閲覧)
- 〔東網(on.cc)〕専営バス運賃値上げ申請に関する報道(2026年10月14日、中国語)(2026年10月16日閲覧)
- 〔The Standard〕専営バス4社の運賃値上げ申請(8.1%〜17.7%)に関する報道(英文)(2026年10月16日閲覧)
- 〔am730〕専営バス運賃値上げ申請に関する報道(中国語)(2026年10月16日閲覧)

