【ニュースの要点】
キャセイパシフィック航空(Cathay Pacific)は2026年7月24日(金)、航空燃料価格の上昇を理由に、2026年8月1日から燃油サーチャージ(燃油附加費、fuel surcharge)を引き上げると発表しました。South China Morning Post〈SCMP〉2026年7月24日付の報道によると、引き上げは旅客・貨物の双方が対象で、旅客の上げ幅は最大41.3%。これに当たるのは香港=南アジア亜大陸線(1区間HK$448→HK$633)です。香港発の公式料金表では、日本線が入る「その他の路線(Other flights)」区分が1区間HK$241→HK$339(+HK$98、約40.7%)となります(キャセイパシフィック航空公式サイト、2026年7月時点)。
押さえておきたいのは2点です。上がるのは運賃本体ではなく別建ての燃油サーチャージ部分であること。そして金額の境目が搭乗日ではなく「発券日」にあるとみられることです。公式表の列見出しは「Until 31 Jul 2026」「From 01 Aug 2026」で、7月31日(金)までに発券(購入完了)した香港発の航空券には現行額が適用されるとみられます(根拠は後述)。
香港発の区分別・新旧額(1区間あたり)
キャセイ公式サイトは「燃油サーチャージはすべての航空券に含まれ、運賃種別を問わず1フライトセクション(区間)あたりで課される」と明記しています(2026年7月時点)。
| 区分(香港発) | 〜7月31日 | 8月1日〜 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 香港=中国本土(Chinese Mainland) | HK$165 | HK$198 | +HK$33(+20.0%) |
| その他の路線(Other flights)※日本線はここ | HK$241 | HK$339 | +HK$98(+40.7%) |
| 香港=南アジア亜大陸(South Asian Sub-Continent) | HK$448 | HK$633 | +HK$185(+41.3%) |
| 香港=南西太平洋/北米/欧州/中東/アフリカ | HK$965 | HK$1,362 | +HK$397(+41.1%) |
1区間あたりの額なので、乗り継ぎのない単純往復は2区間分です。1人あたりの差額は日本線+HK$196、中国本土線+HK$66、南アジア線+HK$370、長距離線+HK$794となり、家族4人の日本往復ならHK$784の差。ただしキャセイが「往復いくら」と示しているわけではなく、乗り継ぎのある旅程は区間数が増えます。
日本線はどの区分に入るのか
香港発の公式表に「Japan」という名指しの区分はありません。名指しされている3区分(中国本土、南アジア亜大陸、南西太平洋・北米・欧州・中東・アフリカ)のいずれにも当たらないため「その他の路線」に入る、という消去法での整理です。台湾や東南アジアも同じ区分と見られますが、対象路線の一覧は公表されていないため、実額は購入時に予約画面の内訳でご確認ください。
「予約」と「発券」は違う
香港では、予約(座席の確保)を入れただけでは金額は確定しません。香港民航處(Civil Aviation Department、CAD)のFAQは、香港発の旅客燃油附加費を「2018年11月1日以降に発券された航空券」に含まれうるものと説明し、それ以前に購入した券は同日以降の搭乗でも対象外(旅客側の事情による再発券を除く)としています。制度自体が発券日を基準に組み立てられているわけです(2026年7月時点)。キャセイの日本語サイトでも、日本発の額は「2026年7月1日から2026年8月31日の発券分(再発券も含む)」と発券期間で区切られています。
ただし、香港発のページに「発券日基準」と明示する一文までは、本記事執筆時点(2026年7月)で確認できていません。購入前に予約画面の内訳とキャセイ公式ページでご確認ください。再発券も「発券」に含まれる以上、発券後に日程を変更して再発券となった場合は、その時点の額が適用される可能性もあります。
裏を返せば、発券済みの航空券に後から差額を請求されることは通常は想定されていません。「燃油サーチャージの差額をお支払いください」というメールやSMSが届いたら、まずフィッシング詐欺を疑い、リンクを開かずに公式アプリ・公式サイトか購入した旅行会社に直接確認してください。
背景:ジェット燃料価格が2週間で約25%上昇
キャセイは引き上げの理由として中東情勢の緊迫を挙げています。SCMPの報道によると、同社が国際航空運送協会(IATA)の集計として示したジェット燃料価格は、7月3日終了週の1バレルUS$119.13から、7月10日終了週にUS$127.06、7月17日終了週にUS$149.40へと、2週間で約25%上昇しました。
もっとも、水準が跳ね上がったわけではありません。キャセイは「4月以来はじめての引き上げで、調整後も4月の高値は下回る」と説明しています。公式サイト(繁体中文版)も、5月以降は燃料価格の下落に伴ってサーチャージを複数回引き下げてきたとしており、下がり続けていたものが反転した局面です(2026年7月時点)。
香港発のサーチャージ額は、民航處が2018年9月21日に発表した枠組みのもとで各航空会社が自ら決めます。その代わり、予約手続き中は運賃・サーチャージ・空港出境税などを含む支払総額と、その内訳の表示が求められます。額が随時動くのはこの仕組みによるもので、今回は制度が変わったわけではなく、既存の枠組みの中での額の改定です。
7月31日までに考えたいこと
個人の場合。 8月以降の渡航で日程が固まっているものがあれば、7月31日(金)までに発券を済ませるか検討する価値があります。判断材料は差額とリスクの比較です。日本線は往復1人+HK$196。これに対し、変更・取り消しの手数料、運賃自体が今後下がる可能性、予定が固まっていないリスクをどう見るか。安価で変更しにくい運賃を急いで買うことが、必ずしも得とは限りません。一方、長距離線(往復+HK$794)や人数が多いケースほど前倒しの実益は大きくなります。なお日本発の航空券は別の表・別の発券期間で設定されており、8月1日の改定がそのまま当てはまるとは限りません。
企業の場合。 出張旅費の単価は路線別に見直しが必要です。香港発の往復1人あたりで日本線+HK$196、中国本土線+HK$66、南アジア線+HK$370、長距離線+HK$794。年間の出張本数を掛ければ下期予算への影響を試算できます。旅費規程に「日本往復◯◯ドル以内」といった上限額がある場合は、上限が運賃本体か、税・サーチャージ込みの総額かを明確にしておくと運用が安定します。社内周知は事実の共有にとどめ、駆け込み発券を一律に指示しない方が無難でしょう。未消化チケットや変更手数料でかえってコスト増になりかねません。SCMPの報道によれば貨物のサーチャージも同時に引き上げられるため、香港発の輸出やEC発送がある企業は改定額をフォワーダーやキャセイカーゴにご確認ください。
まとめ
今回動くのはサーチャージ部分で、日本線の増加幅は往復1人あたりHK$196。慌てる必要がある人と、そうでない人が分かれる規模です。燃料価格次第で今後も随時見直されるため、最新額は必ずキャセイ公式サイトでご確認ください(本記事の金額はいずれも2026年7月時点)。
本記事は2026年7月時点の公開情報に基づく一般的な解説です。旅費規程の改定や航空券費用の会計・税務上の取り扱いなど個別の案件については、税理士・会計士など専門家にご相談ください。
出典
- Cathay Pacific「Fuel surcharge updates」(香港発の燃油サーチャージ表・英語版)(2026年7月25日閲覧)
- 國泰航空「客運燃油附加費更新」(繁体中文版)(2026年7月25日閲覧)
- キャセイパシフィック航空「燃油サーチャージについて」(日本語版・日本発の発券期間の記載)(2026年7月25日閲覧)
- 香港民航處(Civil Aviation Department)FAQ(旅客燃油附加費の枠組み)(2026年7月25日閲覧)
- 香港民航處「Cargo Fuel Surcharge」(貨物燃油附加費)(2026年7月25日閲覧)
- 〔South China Morning Post〕Cathay to raise passenger fuel surcharges by up to 41% amid Middle East tensions(2026年7月24日)(2026年7月25日閲覧)

