ニュースの要点
香港政府は2026年6月8日、広東省ナンバーの自家用車が香港へ乗り入れる「南向旅遊計劃(Southbound Travel for Guangdong Vehicles)」を二段階で拡大すると発表しました(出典:香港政府新聞公報 info.gov.hk/2026年6月時点)。
今回の拡大により、新たに深圳・仏山・東莞・恵州・肇慶の5都市が加わり、既存の広州・珠海・中山・江門と合わせて大湾区(GBA)9都市をカバーします。あわせて香港市街地(urban areas)への乗入れ予約枠を1日100台から200台へ倍増します。
重要な前提として、本制度は「広東省ナンバー車が香港へ来る(南向き)」スキームです。香港居住の駐在員が自分の香港ナンバー車で本土へ自走する場合は、方向が逆の別制度「港車北上(Northbound)」になります。この2つの制度を混同しないよう注意が必要です。
ニュースの概要
香港政府新聞公報(info.gov.hk/news.gov.hk、2026年6月時点)によると、拡大は以下の二段階で実施されます。
- 2026年6月15日:新規5都市(深圳・仏山・東莞・恵州・肇慶)の車両が、香港港(Hong Kong Port)のカーパークに駐車して香港国際空港を利用する「Park & Fly」サービスを開始。
- 2026年7月25日:新5都市の車両が港珠澳大橋(Hong Kong-Zhuhai-Macao Bridge, HZMB)経由で香港市街地への乗入れが可能に。香港港カーパークに駐車して公共交通で市内へ入る「Park & Visit」を9都市全車両に開放。同日付で市街地乗入れの予約枠を1日100台から200台へ倍増。
- 1台あたりの最長滞在は3日。
- 政府は2027年第1四半期までに広東省全21都市への拡大を目標としています(目標であり確定スケジュールではありません)。
駐在員・日系企業への影響
直接の制度対象は「広東省ナンバー車を持つ本土在住者」であるため、香港居住の駐在員個人が即座に恩恵を受ける制度ではありません。実務上の影響は間接的なものとなります。
個人の場合
本土(特に深圳)側に自家用車を保有する駐在員・帯同家族、または本土在住の家族・知人が広東省ナンバー車で香港を訪れやすくなります。
日系企業の場合
本土側のスタッフ・取引先・パートナーが自家用車で香港へ来訪する選択肢が増えます。大湾区拠点と香港拠点間の出張・人材移動・会議設定の利便性に関わります。
背景
本制度は、香港・本土間の人流と車両往来を促す大湾区(GBA)一体化政策の一環です。先行する「港車北上(Northbound=香港ナンバー車が本土へ)」に対し、南向きの対をなすものとして本土ナンバー車を香港へ呼び込み、観光・消費・往来需要を取り込む狙いがあります。
香港政府新聞公報(info.gov.hk/news.gov.hk、2026年6月時点)によると、本スキームは2025年後半に広州・珠海・中山・江門の4都市で始まり、2026年5月末時点で承認申請が約8,400件、予約が約6,700件に達しています。この利用状況を受け、深圳を含む5都市の追加と割当倍増で規模を広げる形です。
なお、本制度は観光・往来の利便化が主眼であり、貨物物流(越境トラック輸送)の制度ではありません。社内で「物流コスト削減策」として過大に共有しないよう注意が必要です。
今すべきアクション
個人向け
- 「南向き(広東省ナンバー車が香港へ)」と「港車北上(香港ナンバー車が本土へ)」を混同しないこと。
- 本土側に自家用車を持ち香港へ自走したい場合は、対象都市・登録要件・割当(1日200台・最長3日)と二段階の開始日(6/15 Park & Fly/7/25 市街地乗入れ)を確認し、必要であれば登録・予約を行ってください。
- 本土側の家族・知人が広東省ナンバー車で香港来訪を予定する場合、7/25以降の市街地乗入れ予約枠は1日200台と限られるため、早めの予約枠確保を検討してください。
企業向け
- 大湾区拠点と香港拠点間の人材移動・出張ルートに「本土側スタッフ・取引先の自家用車による香港来訪」という選択肢が加わる点を把握してください。
- 本制度は観光・往来利便化が主眼で物流制度ではない点を正しく理解し、サプライチェーンへの直接的恩恵として過大に社内共有しないこと。
- 本土在住の現地採用スタッフや本土側パートナーの香港来訪が容易になる可能性を踏まえ、来訪・会議設定の社内ガイドに反映してください。
まとめ
「南向旅遊計劃」の拡大は、大湾区の人流一体化が一段進む動きです。ただし駐在員個人が直接の対象ではなく、実利は「本土側の関係者が香港へ来やすくなる」という間接的なものである点を正確に押さえることが重要です。
香港市街地での走行・駐車ルールの詳細(走行可能エリア、本土免許での運転可否など)は今回の公式発表だけでは網羅されていないため、運輸署(Transport Department)・入境事務処(Immigration Department)等の公式案内で要確認です。車両登録・保険・運転免許などは法令にまたがり個別性が高く、手続きの詳細は公式案内および専門家(行政書士・法律事務所等)にご確認ください。最新の制度内容・割当・施行日は必ず公式で要確認です。
出典
- 〔香港政府〕Southbound Travel for Guangdong Vehicles to be expanded(香港政府新聞公報 info.gov.hk、2026年6月8日発表) https://www.info.gov.hk/gia/general/202606/08/P2026060800603.htm (閲覧日:2026年6月14日)
- 〔香港政府〕Southbound Travel for Guangdong Vehicles to be expanded(news.gov.hk、2026年6月8日) https://www.news.gov.hk/eng/2026/06/20260608/20260608_150708_729.html (閲覧日:2026年6月14日)

