医療・健康

香港で2026年初のチクングニア熱の域内感染例 大角咀の55歳女性、CHPが健康ステーション設置

【ニュースの要点】

衛生署衛生防護中心(Centre for Health Protection、CHP=香港政府・衛生署の感染症対策部門)は2026年9月17日、九龍・油尖旺区(Yau Tsim Mong)の大角咀(Tai Kok Tsui)にある利得街(Li Tak Street)に住む55歳の女性が、チクングニア熱(基孔肯雅熱/chikungunya fever。蚊が媒介するウイルス性の感染症)に感染していると確認されたと発表しました。推定された潜伏期間(2026年8月26日〜9月5日)に渡航歴がないことから、香港の中で感染した「域内感染例」に分類されています。域内感染の確認は2026年に入って初めてで、今年の確認例は今回を含めて計3件(域内1件・輸入2件)です。女性は9月16日に入院し、蚊が入り込まない環境で治療を受けていて、容体は安定しています(いずれも9月17日の発表時点)。

発症から入院までの経過

CHPの初期調査によると、女性は9月7日に発熱・頭痛・手指と手首の関節の痛みを発症し、その後、顔と体に発疹が出ました。9月16日に伊利沙伯医院(Queen Elizabeth Hospital)を受診し、同日入院しています。

潜伏期間の大半は自宅で過ごし、住まいの近所でよく活動していました。本人の記憶の範囲では、蚊に刺されたのは自宅と、櫻桃街公園(Cherry Street Park)・樂群街公園(Lok Kwan Street Park)の周辺だといいます。同居の接触者1人は発表時点で症状がなく、CHPが健康観察と助言を行い、必要なら検査を手配するとしています。疫学調査は継続中で、感染源や感染の経路については発表されていません。

呼びかけの対象は大角咀の該当エリア

CHPは、利得街・櫻桃街公園・樂群街公園の付近に居住している人、またはこのエリアを訪れた人のうち、2026年8月1日以降に発熱・発疹・関節痛が出た人に、医療機関を受診するか、CHPに速やかに連絡するよう求めました。

  • ホットライン:2125 2373(9月18日以降は午前9時〜午後6時)
  • 健康ステーション(health consultation booth=該当する症状のある人に健康評価を行う臨時の相談窓口):9月18日から、大角咀市政大廈(Tai Kok Tsui Municipal Services Building)1階、福全街63号。午前10時〜午後5時。終了日は未発表です。

現場では、CHPと食物環境衛生署(Food and Environmental Hygiene Department、FEHD)の職員が患者の住居付近で視察と蚊の調査、駆除措置を実施しました。CHPは香港中のすべての医師・病院・学校・機関にも書簡を出し、疑い例があれば直ちに通報するよう求めました。South China Morning Postの報道によると、この書簡では、渡航歴の有無にかかわらず、疑わしい症状の患者には診断検査の実施を検討するよう医師に呼びかけています。

チクングニア熱とはどんな病気か

CHPの疾患ページ(2026年8月24日付)によると、特徴は発熱と激しい関節痛で、頭痛・筋肉痛・吐き気・倦怠感・発疹を伴うこともあります。潜伏期間は2〜12日。症状は通常数日で自然に治まりますが、関節痛が数か月から数年続く場合があります。重症化や死亡はまれで多くは完全に回復するものの、65歳超・1歳未満の乳児・妊婦・基礎疾患のある人はリスクが高いとされます。特効の抗ウイルス薬はなく治療は対症療法で、香港で登録されたワクチンは現時点でありません。

媒介する蚊について、香港にネッタイシマカ(Aedes aegypti)はいませんが、ヒトスジシマカ(Aedes albopictus)が一般的に生息しています。日中に刺し、早朝と夕方にピークを迎える蚊です。

昨年との比較と周辺の状況

2025年の香港の確認例は82件で、うち域内感染が11件、残りは輸入例でした。昨年、初の域内感染例がCHPから発表されたのは2025年10月26日です。今年の初確認が9月17日ですから、発表の時期は昨年より39日早いことになります。

CHPは今回のリリースで、広東省疾病予防控制局の数字を引用し、広東省の2026年の件数が8月31日時点で739件、うち8月が496件と、6月の36件・7月の171件から大幅に増えたことを挙げ、輸入のリスクは続くとしています。ただしCHPは、広東省の増加と今回の域内感染例との関係については述べていません。

香港で今日からできる備え

CHPとFEHDが公式に呼びかけている対策は次のとおりです。

  • 虫よけ:DEETを含む製品などを表示どおりに正しく使う。妊婦はDEET30%まで、子どもは10%まで(流行地へ行く生後2か月以上の子どもは30%まで可)。日焼け止めを先に塗り、虫よけを後に。
  • 蚊の発生源をなくす:家と周辺の水たまりを取り除く、花瓶の水を替えて内側をこすり洗いする、植木鉢の受け皿の水を少なくとも週1回捨てる、空き缶や弁当箱を適切に処分する、排水溝の詰まりを解消し、排水溝と表面の下水を少なくとも週1回アルカリ性洗剤でこすって卵を除去する。蚊の問題は政府の共通ホットライン1823へ。
  • 渡航に関して:出発前に目的地の状況を確認する(CHPは特に東南アジアを挙げています)。流行地から戻った後は少なくとも14日間は虫よけを使い(自覚症状がなくても蚊を介して広げうるため)、発熱などが出たら旅行歴を伝えて受診する。流行地へ行く場合は出発の少なくとも6週間前に医療相談を。

まとめ

今年初の域内感染例という節目ではありますが、CHPが受診や相談を求めている対象は大角咀の該当エリアに居住・訪問した人で、8月1日以降に発熱・発疹・関節痛が出たケースに限られます。それ以外の在住者にとっては、日中に活動する蚊への対策と自宅まわりの水たまりを見直すきっかけ、というのが実際のところでしょう。

本記事の内容は2026年9月17日の発表時点のものです。追加の症例や疫学調査の進展、健康ステーションの運営期間などは今後の発表で変わりうるため、最新の情報はCHPの公式発表で必ず確認してください。

出典

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